2月だったかな、ソフィア・コッポラの「マリー・アントワネット」を観ました。
マロノ・ブラニクの靴コレクションにラデュレのお菓子、豪華な衣装、ベルサイユ宮殿で撮影されたこの映画はお菓子のように美しく可憐でキュートな映像がてんこもりでした♪
美しい映像の中でもさりげなくルイ16世の性格的な弱さを描き、
(これが見事なぐずっぷりなんですよ。。。ホントに)
重要な政策を決定する場面でも国民がどうとか、国としてどうあるべきかを国王が信念をもって決定していたのではなく、周囲の自分の利益や特権を守ることにやるき満々の貴族の大臣たちに押し切られてぐずぐずと決めており、結局民衆とは全く違う世界の人達だけで国家が動かされているのね~と思わされ、
マリー・アントワネットにしてもプライバシーのかけらもない生活を強いられて妊娠しないのは自分のせいじゃないのに周囲からは「はよ子供作れ~作れ~」と言われたらショッピングとファッション、遊びで憂さを晴らしたくなるさ、と共感できる描き方でした。
でも、プチトリアノンで農婦のようなくつろいだ生活を送る様子は「派手好きな王妃も実はそういう素朴さや自然を愛する人で、宮殿生活の空しさを紛らわしていたのね」というより、この時期の彼女の政治能力の無さを表すシーンなのかなと私は思いました。
だって、宮殿から一歩外に出ればまごうことなき農民たちが農作業に従事していて彼女が望んだとおりの田園風景だってあるはずなのに、宮殿の外のことは見もしない。
自分の領地を視察するということもしてないんですよね。
貧しい農民達をよそ目に、キレイな宮殿の中で「農民ごっこ」をする感覚はどうなのかな、と。
(しかもこの時期のフランスの情勢を知っていればそんな事は慎むと思うのだが)
ただ、彼女はとても素直で自分に正直な人で自然やさりげなさを愛していたのは本当ですが。。。少なくともベルサイユに住んでいた当時は彼女は政治家では無かったということです。
で、もうちょっと彼女のことを知りたくなり今更ですがツヴァイクの「マリー・アントワネット」を読んでいます。
誰だったか作家の方が「ツヴァイクが書いていた「白くもなりぬ、不幸の故に」のマリー自筆の手紙と白髪の束の実物をフランスで見た時はツヴァイクの手の内を見たようでがっかりした」
と言っていましたが、さすが伝記小説の傑作。マリー・アントワネットの前半の浅はかな人生と王妃としての誇りに満ちた後半の人生を見事に描いています。
「ベルサイユのバラ」でフェルゼンがあんなに犠牲的なのはフィクションだと思ってましたが史実らしい。素敵です。
(映画を観た後、ベルバラ全巻を読み直したのは言うまでもありませんねw)
映画 『
マリー・アントワネット』
監督 ソフィア・コッポラ 主演 キルスティン・ダンスト、ジェイソン・シュワルツマン
マリー・アントワネット 上・下 (文庫)
シュテファン・ツヴァイク (著), 中野 京子 (翻訳)
ちなみにこちらが映画の原作本だそうです。
マリー・アントワネット上・下 ((文庫)
アントニア フレイザー (著), Antonia Fraser (原著), 野中 邦子 (翻訳)
こっちも読んでみたいなあ。